液性限界と膨潤力試験の課題

 ベントナイト混合土のバリア機能は,ベントナイトと水とのポテンシャル(潜在的)な相互作用に基づいている。このためベントナイトの品質と性能を知るためには,ベントナイトの水に対する膨潤能を評価することによって達成できる。しかしながら膨潤能はベントナイトのポテンシャルな特性であるから,その評価方法は絶対的でなく恣意的であり相対的である。ベントナイトの膨潤能の評価方法としては幾つかの方法がある。それらは,膨潤力試験法(自由膨潤試験),液性限界試験法,エンスリン試験法,重量法,膨潤圧試験法などである。実用的な簡便性からは膨潤力試験と液性限界試験がある。

 

 液性限界は土のコンシステンシー限界(液性限界,塑性限界,収縮限界)の一つで地盤工学者になじみの試験法である。液性限界はベントナイトと水を練り合わせ,固体状態を維持するのが困難となる最大含水比である。膨潤力試験法は無拘束雰囲気下でベントナイトの水中における自然沈降体積で示される。無拘束雰囲気下であるため自由膨潤試験とも云う。これら二つの方法を比較すると,液性限界試験は練り合わせと云う機械的操作が入ることによってベントナイトの二次粒子がほぐれ,緻密なゲルを形成するために真の膨潤能を反映する点で優れていると考えられる。しかしながら,練り合わせにオペレーターの個人差がでやすく,再現性のよいデータを得るためには熟練を要する7)

 

 

 膨潤力試験法は,2 g のベントナイト粉末試料を水 100 ml 中に分割して投入し,自然沈降させてその見かけの体積をもって膨潤力として表示するのであるが,ベントナイトの粉末の細かさや二次粒子の集合状態など二次的なファクター(要素)が測定値に介入しやすい。膨潤力試験は熟練を必要としない再現性のよい方法として古くから各国の薬局方ベントナイト試験法に取り入れられており,近年ではジオシンセティックス用ベントナイトの試験法としてもASTMで標準化されるようになったが,液性限界に比較して相対評価の面が強く,真の膨潤力というよりもその製品の特性値として捉えられる要素を内包している。このため,市販されている20種のベントナイトを用いてコンシステンシー(土が含水比によって液状 から固体状にまで変化する性質)と基礎的特性を調べた。

 

 

 

 

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