液性限界(wL)と塑性指数(IP)から図5.6に示す塑性図が得られた。統一土質分類塑性図11)のA線式(3)に対して今回測定したベントナイト塑性図の特性線は回帰式(3’)で与えられ,特性線の回帰係数は1.010でA線の勾配よりも1.38倍高い塑性を示した。
統一土質分類塑性図のA線: IP=0.73wL-14.6 (3 )
ベントナイト塑性図特性線: IP=1.01wL-57.8 (3’)
また式(3’)と米国の代表的な土の塑性図12)から読み取ったベントナイトの塑性図の特性線と比較すると,勾配は同じく1.0で一致した.A線とベントナイト特性線の交点座標は式(3)及び(3’)から(154, 98) であるが,典型的なCa型ベントナイトであるS-18だけがA線よりも下方(119, 67) にプロットされシルト(高液性限界)に分類される。
式(3’)は,回帰係数を1.0と見なすと塑性指数の定義すなわちIP = wL - wPと同形となり,定数項57.8を今回測定した塑性限界の統計値に置き換えて,ベントナイトの塑性指数と液性限界に関わる一般式として表すことができる。ちなみに今回測定した塑性限界の統計計算結果は次ぎのとおりであった。
平均値:53.2;標準偏差:7.85;中央値:54.4
有意水準5%の信頼区間:±3.44(49.8≦53.2≦56.6)
有意水準1%の信頼区間:±4.52(48.7≦53.2≦57.7)
図5.4の散布図からわかるように,塑性限界は収縮限界と同様に一定の値の帯状に分散しており液性限界の大小と直接の関係は見出されない。