100 mlの精製水中で試料2 gが吸水膨潤して占める乱れていない沈降体積で膨潤性を評価する試験方法は古くから各国薬局方ベントナイトの膨潤力試験として用いられている。ベントナイトの液性限界試験は技能的な熟練を要することと特殊試験装置を必要とするのに比較して,膨潤力試験は特殊な装置を必要とせず極めて簡易に測定できる。図5.19は膨潤力と液性限界の関係を示す散布図で,回帰直線はノモグラムとして活用でき,両者の関係を式(7)で表すことができる。ここにwLは液性限界(%),SPは膨潤力(cm3/2g)である。
Na型ベントナイトの液性限界は300 %以上であり,これは膨潤力12.5cm3/2g以上であることがわかる。一方,勝見(2002)ら21)は電解質水溶液中のベントナイトの膨潤力,透水係数および電解質濃度の関係を詳細に研究し,電解質濃度の増大とともに膨潤力は小さくなり,透水係数が増大すること,また膨潤力が12.5 cm3/2g以上で低透水性の閾値である透水係数が1×10-7 cm/s 以下になることを明らかにしている。
膨潤力と液性限界の大きさは収縮限界以上の含水量による体積の変化に関するものであるから,それぞれ膨潤力体積比変化fSP/f0と液性限界体積比変化fL/f0とについて,両者の関係をプロットして図5.19及び直線回帰式(8)を得た。